ストリングスついて
ストリングスは、弓を使い弦を擦ることで音を出すので“擦弦楽器”と呼ばれます。
弓に張られている素材は、
馬の尻毛が主流で、
松脂を塗って適度にザラついた状態を作り出します。
弦の素材はと言えば、昔は羊の腸でつくったガット弦だったそうですが、
現在ではナイロン、スチール、チタン弦などになっています。
弦は音の高い方から、第1弦、第2弦、第3弦、第4弦と数えて、
調弦については、コントラバスだけが四度調弦で、
バイオリン、ビオラ、チェロは五度調弦です。
バイオリンは第1バイオリンと第2バイオリンにわかれるため、
ストリングス全体では5パートになるので、「弦楽五部」と呼ばれます。
ストリングスの奏法としては、弓を使って演奏する“アルコ”や指ではじく“ピチカート”など、
それぞれ名称がありますので、楽譜にどのような奏法で演奏するか明記する必要があります。
また、ストリングスは各パートの人数が多いので、
「div.(ディヴィジ)」と記されていたら
パート内の人数を分けて演奏します。
逆に、分けたパートを統合するには「unis.(ユニゾン)」と譜面に記します。
それでは、以下に各ストリングスパートについて解説していきます。
バイオリンについて
ヴァイオリンは、ストリングスの中で高音域を担い、3オクターブを超える音域があります。
およそ16世紀に発明されたとされるヴァイオリンは、現代でもその形状をほとんど変えていません。
第1ヴァイオリンはメロディーを受け持つことが多く、 第2ヴァイオリンは第1ヴァイオリンに対するハーモニーや メロディーを支える役目にまわることがよくあります。
同じ譜面台を使う2人1組のことをプルトと言いますが、 6プルトであれば12人の奏者がいることになります。
第1ヴァイオリンの人数によって
ストリングスの編成の大きさをあらわすのですが、
12型なら12-10-8-6-4の人数となり、
これをプルトで表すと6-5-4-3-2となります。
また、一般的にヴァイオリンからコントラバスに向けて 1プルトずつ減らした人数がストリングスの音量バランスが最適であるといわれています。
バイオリンの音域
ヴァイオリン
調弦:G2/D3/A3/E4
実音域:G2~C6
ビオラについて
ヴィオラは、ストリングスの中で中音域を担当し、アルト譜表で記譜します。
物理的にはヴァイオリンの1.5倍の大きさが好ましいのですが、
実際には演奏しにくいため、そこまでの大きさはありません。
ヴァイオリンと一緒にメロディーやハーモニーを奏でたり、
チェロと一緒に動いたりと、一見目立たない存在に思われがちですが、
縁の下の力持ち的な役割としてストリングスの内声部を支えます。
各弦の調弦は、ちょうどチェロの1オクターブ上となっています。
実はベートーヴェンをはじめ、
多くの作曲家がヴィオラの演奏家でした。
演奏可能な音域が、コード的なハーモニーを考える上で
非常に役に立つ音域であるため、
自然とヴィオラを手にして作曲を行っていたのかもしれませんね。
ビオラの音域
ヴィオラ
調弦:C2/G2/D3/A3
実音域:C2~E5
チェロについて
チェロはストリングスの中音域を担当します。
弦楽四重奏の編成では、
第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとなり、
コントラバスが不在の場合、チェロはバスパートを担当することが多いですが、
ベース楽器という役割のみならず、メロディーを担当することもあります。
このように低音域でバスの役割を果たすこともあれば、
中音域でメロディーを奏でることもある、
という楽器としての幅の広さを考えると、
木管楽器のファゴットの役割にも似ています。
記譜の仕方は、高い音域で演奏する場合は、
テナー譜表も用いられます。
チェロの音域
チェロ
調弦:C1/G1/D2/A2
実音域:C1~E4
コントラバスについて
コントラバスは、オーケストラの最低音部を担い、
音楽の土台を支えます。
元々は、16世紀に発達したViolone(大きなヴィオラ:ヴィオローネ)という楽器が源流であり、
この単語はViolaに‘-one’という拡大辞が付いたものです。
もっと言えば、チェロはイタリア語でVioloncello(小さいヴィオローネ)で、
Violoneに-‘cello'という縮小辞が付いています。
つまり、ネーミングの順番からすると、
ヴィオローネがチェロよりも古くからあったことがわかります。
小型の低音楽器であるチェロが普及する中で
ヴィオローネはその存在を脅かされますが、
その結果、チェロの譜面を1オクターブ下で読んで演奏する
移高楽器としてのスタイルが生み出されました。
ヴィオローネにはフレットが付けられ、
弦の本数も3~6本ほどあったようですが、
19世紀にフレットがなくなり、
現在のコントラバスのようなフォルムになったようです。
近年、オーケストラにおけるコントラバスの主流は4弦ですが、
大きな編成であれば5弦コントラバスもあります。
なお、4弦コントラバスは4度調弦ですが、
5弦コントラバスでは最低限はたいてい「C」にチューニングします。
コントラバスでのピチカート奏法は、
太い弦と大きなボディによる共鳴が非常によく、
ジャズやロカビリーによく用いられるように、
軽快なベース・サウンドを生み出します。
コントラバスの音域
コントラバス
調弦:C0/E0/A0/D1/G1
実音域:C0~B3
※4弦ではE0が最低音になります
ストリングスの採譜
ストリングス全般、ヴァイオリン譜、ヴィオラ譜、チェロ譜、コントラバス譜の採譜も承ります。 ひとつのメロディーを弦楽四重奏用にアレンジにしたり、2パートのヴァイオリン譜にアレンジするなども承ります。
そのほか、ご希望にあったストリングス譜面もお作りいたします。
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