練習前の5分で差がつく!脳科学が教えるウォームアップ法
楽器の練習を始める前に、あなたには何かルーティンがありますか? ストレッチ、チューニング、楽器を拭く—いろいろあると思いますが、実は脳科学の研究で「アップテンポの曲を聴いてから作業を始めると、作業効率が上がる」ということが実証されています。
これは楽器の練習にもそのまま応用できる話です。今回は、「脳のウォーミングアップ」という視点から、練習の質を上げるための具体的な方法をご紹介します。
速いテンポの曲を聴くと、脳が"起動"する
東京大学先端科学技術研究センターで「音楽と脳」の関係を研究されている宮﨑敦子博士(医学博士・DJでもある!)の研究によると、テンポの速い曲(120〜150BPM程度)を何かの作業の「前に」聴くと、次のような効果があることが脳磁図(MEG)で実証されたそうです。
脳が覚醒し、短期記憶に必要な脳の部位の準備が素早く整い、その結果として作業のスピードが上がる—。
ここで大事なのは「聴いた"後に"作業する」という順番です。つまり、BGMとして流しっぱなしにするのではなく、聴いてから練習を始める。この順番がポイントなのです。
効果的な曲の選び方
研究で効果が確認されているのは120〜150BPM程度のテンポ。ジャンルは問いません。
なかでも「ドン、ドン、ドン、ドン」という4つ打ちのビートが入った曲は、リズムが認識しやすく、脳の運動前野が活動するため特におすすめです。
選曲の基準はシンプルです。「テンポが速くて、明るい曲」——これだけ意識すればOKです。
ただし、ひとつだけ大切な条件があります。それは「自分が好きな曲であること」。研究では、好きな曲でないと覚醒効果が得られないということもわかっています。嫌いな曲を我慢して聴いても効果は期待できないというわけです。
リズムを聴くだけで「演奏の準備」が整う
脳科学の研究では、リズムを聴くと脳の「運動前野」が活動することもわかっています。
運動前野とは、実際に体を動かす「運動野」の手前にあって、運動を行うための"準備"を担当している場所です。つまり、テンポのはっきりした曲を聴くだけで、指を動かす準備、腕を動かす準備、息を吹き込む準備が、脳のレベルで整ってしまうのです。
これは楽器を演奏する人にとって、とても心強い話ではないでしょうか。
ウォーミングアップというと指のストレッチやスケール練習を思い浮かべますが、その前に「脳のウォーミングアップ」としてアップテンポの曲を聴く。これだけで、その日の練習の立ち上がりが変わってくるかもしれません。
リズムが正確な人は認知能力も高い?
ちょっとおもしろい研究結果もあります。
指先で正確にリズムを刻める人(タッピングの精度が高い人)は、空間認知能力も高い傾向があるということが報告されています。タッピングの精度と空間認知課題の得点には相関があり、脳の同じ部位(右前頭前白質)を使っているとのこと。
空間認知課題はIQテストに含まれる項目ですから、少し大げさに言えば「リズムを正確に刻める人はIQが高い可能性がある」ということになります。あくまで統計的な話ではありますが、リズム練習へのモチベーションにはなりますね。
脳科学の観点からも、リズムは音楽の土台であるだけでなく、認知機能全般の土台でもある—そんなことが見えてきます。
今日からできる「脳のウォーミングアップ」まとめ
- 練習を始める前に、テンポの速い好きな曲を1曲(5分ほど)聴く
- BGMとしてではなく、「聴いてから」練習に入る
- 4つ打ちのビートが明確な曲が特におすすめ
- 自分が好きな曲であることが大前提
たったこれだけのことですが、脳の覚醒レベルが上がり、運動前野の準備が整い、短期記憶の処理速度も上がります。
楽譜を読みながら弾く、コード進行を覚えながら演奏する—こうした練習における「脳の負荷」が少しラクになるかもしれません。ぜひ、今日の練習から試してみてください。
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