あなたのための音楽用語辞典

キー

(1)調のこと。トーナリティ(調性)が具体的な形で示されたもの。トーナリティは、トニック(主音)を取り巻くドミナント(属音)、サブドミナント(下属音)、およびこれらの上に構成されるコード(和音)の組織によって確立される。このような組織に実際の音をあてはめてできるのがキー(調)である。調には明るい感じのメジャー・キー(長調)と暗い感じのマイナー・キー(短調)とがあり、この違いは上記の音の組織によってもたらされるもので、調の性格として示される。調の性格をより具体的に示すのは、その調の基盤となるスケール(音階)で、このようなスケールには長音階と短音階とがある。いずれのスケールも調の中心的存在であるトニックを起点とし、その上方に調の性格を示す主要な音を階段状に並べてできる。このうち、特に重要な音はドミナント(第5音)とサブドミナント(第4音)である。また第3音は調の長短の区分につながるもので、長調のスケールには長3度音、短調のスケールには短3度音が組み込まれている。さらに第2音と第7音とはともにドミナント上の和音(ドミナント7thコード)の構成音として、また第6音はサブドミナント上の和音(サブドミナント・コード)の構成音として主要な音とされる。この第6音にも長調、短調での明らかな相違がみられ、その違いからサブドミナント・コードは長調では長和音(IV)、短調では短和音(Ⅳm)となる。なお、長調と短調にはトニックの位置に応じてそれぞれ12通りがあり、楽譜上では調号によって区別されている。ジャズ、ロック、ポップスの分野では英語による調名が一般的であるが、ときにはドイツ語による音名にドゥアー(Dur=長調)、モール(moll=短調)などの、やはりドイツ語の用語を結びつけて使用されることもある。また、全部で24通りの長調、短調の中には柤互に近い関係を持つものがあり、関係調(または近親調)といわれている。

(2)物理的な意味合いでは、キーボード(鍵盤)に並ぶ、白と黒の鍵(けん)のこと。サックスを含む木管楽器の指穴部分の演奏装置もキーといわれる。

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