ユダヤ民族の音楽は旧約聖書時代、離散時代、現代イスラエルに分けられる。旧約聖書時代は紀元前千年代の放浪時代から紀元70年の王政時代で、エルサレムの神殿の儀式音楽、各種の民謡、舞踏、演奏があった。
離散時代はパレスティナから世界中へ分散した長い時代である。スペイン、地中海周辺のセファラディム系、西欧、東欧、ロシアのアシュケナージ系、その他オリエントに拡散して、初期キリスト教会音楽にも影響をおよぼした。各地の音楽と融合し独自のものを開花させた代表例としてヨーロッパ、アメリカのクレズマー音楽があげられる。現代イスラエルではキブツで新しい民衆歌謡・舞踏がうまれ、イデルゾーンによるユダヤ音楽の実証的研究がなされ、斬新な創作や西洋音楽の手法による伝承音楽の蘇生など意欲的な取り組みもみられる。