①複数(通常4以上)のトラックを持つレコーダー(MTR)を使い、主に楽器パートごとに別トラックへの録音を行ない、最終的にモノラルまたはステレオに再録音するレコーディング・システム。現在のポピュラー・ミュージックのレコーディングはほぼすべてMTRによるこの方式で行なわれている。手順としては、まずリズム・パートから録音するのが普通で、それを再生しながら他の伴奏楽器を別トラックに録音し、順次繰り返しながら最後にリード楽器やボーカルを録音する。次に、録音された全部のトラックを同時に再生し、各楽器などの音量バランスや音色(あるいはエフェクトの付加)を決め直し、モノラルまたぱステレオの別のレコーダーに収録するにの段階をミックス・ダウンという。この方法の長所は、楽器ごとの録音であるためプレーヤー全員が一度に集まる必要はないこと、あるいはプレーヤーがひとりでもアンサンブルが可能なこと。収音時にはひとつの楽器しか音を出さないため、他楽器音のカブリを心配しなくてもよいこと。MTRのテープさえあれば、後日何回でもミックス・ダウンが行なえ、作り直しがきくことなどである。ただし、専用のレコーダーとミキサーが必要である。⇒シンクロ・レコーディング、ピンポン
②MTRを使わない多重録音として、ピンポン録音がある。