弦楽器の発音原理の基本となる振動する細い紐状のもの。古くは羊の腸から作られガットと呼ばれていたが、現代では金属製(スティール)やナイロン製の弦が使われている。珍しいものではゴム製の弦もある。エレクトリック・ギターでは主にスティール弦が使用され(圧電ピックアップの場合は、ナイロン弦が使われることもある)、アコースティック・ギターでは、用途に応じてスティール弦とナイロン弦が使い分けられている。弦の太さはインチかミリ単位のゲージで表される。弦の構造には、プレーン(単弦)とワウンド(巻弦)の2種類がある。プレーンは1本の弦で、エレクトリック・ギターの1~3弦、フォーク・ギターの1、2弦がこれにあたる。ワウンドは芯線のまわりに細いスティール弦を巻きつけたもので、エレクトリック・ギターやクラシック・ギターの4~6弦やエレクトリック・ベースの弦がこれにあたる。芯線は、クラシック・ギターでは細いナイロン製の束が使われ、フォーク・ギターやエレクトリック・ギターではスティール製のものが使われる。このほか、ナイロン、レーヨン、シルクなどの素材を芯線に使ったコンパウンド弦(シルク・アンド・スティール弦とも呼ばれる)もある。これは、ナイロン弦とスティール弦の中間的な性質を持っている。ワウンド弦の巻き線の形にはいくつかの種類があり、それぞれラウンド・ワウンド、フラット・ワウンド、ハーフ・ワウンド(またはグラウンド・ワウンド)と呼ばれている。ラウンド・ワウンドは丸い巻き線を持ち、一般的にもっともよく使われている弦で、音質は力強く明るい。フラット・ワウンド弦は四角い巻き線を持ち、指のすべりがスムーズで指と弦との摩擦音が少く、音質はラウンド・ワウンドよりも柔らかい。ハーフ・ワウンドは表面が磨かれて断面が半円状になった弦で、これも指のすべりがスムーズで、指と弦との摩擦音が少ない。音質はラウンド・ワウンドとフラット・ワウンドのほぼ中間といえる。