現代においてもっとも普及している、代表的な撥弦楽器。形状はネックとボディからなり、通常は6本の弦が張られている。ボディは8の字型で左右のくびれはバイオリンなどの他の弦楽器に比べると浅い。ネック表面のフィンガーボードには半音ごとに金属のフレットが埋め込まれていて、その数は19から24くらいまでさまざまである。弦のチューニングは、さまざまなものがあるが、最も一般的なものはスタンダード・チューニングと呼ばれ、EADGBE (第6→第1）になっている。音域は、最低音のEから最高音のBまたはEまで3オクターブ半がら4オクターブである。現在、ギターは非常に多様化していて、その種類も多い。
（１）アコースティックとエレクトリック
アコースティック・ギターは、エレクトリックではないものを指し、生ギターと呼ばれることもある。エレクトリック・ギター（エレキギター）は、ピックアップの電磁作用により弦の信号を電気信号に変え、アンプで増幅しスピーカーから発音されるギターを指す。なお、エレクトリック・アコースティック・ギター（エレアコ）は、アコースティックとエレクトリックの中間的なもので、ピックアップが内蔵されたアコーステイック・ギターである。エレクトリックながらもアコースティックの音に近いサウンドを得ることができるのが特徴。アコースティック・ギターにコンタクト・ピックアップ（後付けピックアップ）を取り付けて音を拾い電気的に増幅するものは、エレクトリック・アコースティック・ギターとはいわない。
（２）使用弦
ギターには大きく分けて2種類の使用弦があり、ひとつは金属製の弦（スティール弦）で、もうひとつはナイロン弦である。ガット・ギターとは、ガット弦（腸弦）を使用するものだが、現在ではナイロン弦を使用していてもガット・ギターと呼ばれることがある。
（３）形状・構造による分類
アコースティック・ギターは通常、表板、裏板、側板で構成される（まれに側板がないものもある）。このボディ内部に空洞があるギターには、あらゆるギターの元祖といえるクラシック（スパニッシュ）・ギター、フラメンコ・ギター、ウェスタン・ギター、フォーク・ギターがある。これらはみなよく似た形状で、平らな表板とサウンドホールをもつ。フラメンコ・ギターはクラシック・ギターより表板が薄く、フィンガーボードの幅もやや狭い。また、ウェスタン・ギターは、ドレッドノート・タイプとも呼ばれ、ボディがやや大きく、左右のくびれが浅い。逆にフォーク・ギターは小さめのボディにやや深めのくびれをもつ。１枚または何枚かの板を貼り合わせた、空洞のないボディをもつギターはソリッド・ギターと呼ばれ、エレクトリック・ギターの多くはこのボディをもつ。また、ソリッド・ギターのうち、ボディの一部が空洞になっているものをセミ・ソリッド・ギターと呼ぶ。エレクトリック・ギターの中でも、空洞のあるボディをホロウ・ボディという。そのホロウ・ボディをもつギターには、フルアコースティック・ギターとセミ・アコースティック・ギターがある（フルアコ、セミアコと略される）。フル・アコースティック・ギターは、湾曲した表板と裏板が特徴で、その形状からアーチド・トップ・ギターとも呼ばれる。ジャズ・ギター、ピック・ギターなどとも呼ばれ、ピックアップのあるものとないものがある。セミ・アコースティック・ギターは、薄めのホロウ・ボディで、内部にセンター・ブロックと呼ばれる木が詰められている。ボディに、スピーカーに似た円錐形の共鳴盤（リソネーター）をもつギターはリソネーター・ギターと呼ばれ、木製のものと金属製のもの（メタル・リソフォニック・ギター）がある。
（４）音楽・演奏スタイルによる分類
演奏される音楽によって分類される名称には、クラシック・ギター、フラメンコ・ギター、スティール・ギターがある。また、スティール・ギターはハワイアン・ミュージックで使われていることより、ハワイアン・ギターとも呼ばれる。演奏スタイルによって分類される名称には、スティール・ギターの中で、膝（ラップ）の上に乗せて演奏されるラップ・スティール・ギター、ペダル操作によりピッチが変えられる、ペダル・スティール・ギターというものがある。
（５）その他
12弦ギターとは、ギターの6本の弦をそれぞれ複弦にして,計12本の弦を張ったギターのこと。1、2弦にはユニゾン、3～6弦にはそれぞれ1オクターブ高くチューニングした弦を加える。奏法は通常のギターと変わらないが、独特の広がりのある音が得られる。テナー・ギターは、形状はギターと同じであるが弦は4本。チューニングはテナー・バンジョー（4弦）と同じで、GDAE (第6→第1）かDGBEのどちらかが使われる。1960年代のモダン・フォーク時代に多用されたが、現在ではほとんど使われていない。
