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チャーチ・モード

教会旋法といわれ、中世から16世紀にかけての教会音楽の理論的根拠とされる音の組織を指す。その後、長・短調による調性の確立の段階で旋法としてのチャーチ・モードは淘汰され、長調にはアイオニアン・モードが、短調にはエオリアン・モードがそれぞれの調性の基盤として受け継がれた。そのほかのモードについては、その一部がやや形を変えてモード手法といわれる作曲技法として活用されている。その結果、語法としてのチャーチ・モードは7種のいわゆるダイアトニック・スケールを指し、モード(旋法)とスケール(音階)との区分があいまいな形となっている。スケールとしてのチャーチ・モードは、メジャー・スケール(長音階)を基準として次のようにまとめられる。

(1)アイオニアン(イオニアン)・スケール:メジャー・スケール(長音階)と同一で、メジャー・キー(長調)でのメロディおよびコードの基礎となる。

(2)ドリアン・スケール:長6度を持つ短音階で、メジャー・スケールの第2音からの音列に相当する。

(3)フリシアン・スケール:短2度を持つ短音階で、メジャー・スケールの第3音からの音列に相当する。

(4)リディアン・スケール:増4度を持つ長音階で、メジャー・スケールの第4音からの音列に相当する。

(5)ミクソリディアン・スケール:短7度を持つ長音階で、メジャー・スケールの第5音からの音列に相当する。

(6)エオリアン・スケール:自然的短音階で、メジャー・スケールの第6音からの音列に相当し、和声的短音階および旋律的短音階とともにマイナー・キー(短調)でのメロディやコードの基盤となる。

(7)ロクリアン・スケール:短2度と減5度とを持つ短音階で、メジャー・スケールの第7音からの音列に相当する。

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