同時に響く複数の音で和音を構成すること。またそのようにして構成された和音を継続的に連結・運用すること。西洋音楽では、和声(ハーモニー)はリズムや旋律とともに、音楽の三要素とよばれてきた。
西洋音楽では、それぞれの時代・地域の和声感覚の正統さを、音響原理に照らして規範化・理論化する試みが積み重ねられてきた。ルネサンス時代には、3度間隔で積み重ねられた3つの音、すなわち三和音を基本とする和声の考え方が起こる。
バロック時代に通奏低音が広まると、旋律に対する伴奏、あるいはバス旋律の和音づけとして和声をとらえる傾向を生じた。
18~19世紀には三和音を基礎としつつ、長・短調の和音関係を扱う和声が主流化。和声理論の体系化がすすめられ、和音記号を使った和声分析が行われるようになった。また、この時期、調性音楽の和声を、音階各度上の和音の機能の観点から説明することがおこなわれ、機能和声とよばれる。しかし、19世紀を通じて、半音階的変化音の多用によって調性が崩壊するなか、三和音にもとづく和声は無条件に受けいれられるものではなくなった。
20世紀になると作曲家たちは、解決を前提としない不協和音を自在に用いるようになる。また、4度音程の堆積を基本とした和声や、全音階以外の音階(旋法)を基本とした和声など、さまざまな新しい和声感覚による作曲がおこなわれるようになった。