音楽を研究対象とする学問。古代ギリシアの音楽論、中世の教養学の一部門としての音楽などの先駆的例はあるが、「音楽学」という用語が正式に登場するのは19世紀ドイツにおいてで、1868年にはドイツ音楽学会が発足している。初期の代表的音楽者アードラーはその学問分野を歴史部門と体系部門にわけ、さらに前者を古文書学(記号学)、音楽史学、法則研究、楽器学にわけ、後者を音楽理論、音楽美学、音楽教育学、比較音楽学(のちの民俗音楽学)に分類した。この分類法は以後拡大、修正されながらも、基本的に今なお有効と考えられている。しかし、20世紀後半には音楽学の飛躍的発展がみられ、新しい分野として音響学、音楽心理学、音楽社会学などがとくに注目を集めている。