五線譜上での音の高さを指定する記号。演奏に使用する楽器の音域に応じて、3種類の音部記号が使われている。
(1)高音部記号(ト音記号)
もっとも一般的な音部記号で、主として高音域の記譜に使われる。卜音(G音)の高さを指定することから、卜音記号ともいわれる。
(2)中音部記号(ハ音記号)
中音域の記譜に使われるが、その記号の位置によって3種類に分類され、それぞれソプラノ記号、アルト記号、テナー記号と呼ばれている。いずれも八音〔C音〕の高さを指定するところから八音記号ともいわれる。このうち、アルト記号はビオラの記譜に固定化して使われている。
(3)低音部記号(ヘ音記号)
低音域の記譜に使われるもので、弦楽器ではチェロ、コントラバス、エレクトリック・ベース、管楽器ではトロンボーン、チューバなどでの使用が固定化されている。また、音高の指定のない打楽器などの記譜も低音部記号で記譜されることがある。へ音(F音)の高さを指定するところから、へ音記号ともいわれる。