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転調

ある曲がその途中でこれまでのキー(調)を離れ、別のキーに変化すること。転調は以下のように分類される。

①一時的転調:一時的に別のキーに入り込むケース。短い時間でもとのキーに戻るため、調号は変化しない。また、単調で画一的なコード進行に色彩感を与える効果を持つが、全体的な調性の統一を邪魔することはない。この一時的転調には関係調へのものが多い。このうち、I-IV (IV m)はサブドミナント(サブドミナント・マイナー)・コードヘの進行として、転調とは区別される場合がある。このような転調にはセカンダリ一・ドミナント・コードが応用されることが多く、それぞれの転調部分に配置されてドミナント・モーションが行なわれる。さらに、一時的転調が連続して行なわれることもある。この場合には、ある一定の音程によるルート・モーション(根音進行)が保たれることが多い。また、これらの転調にドミナント・モーションが加わることもある。

②本格的転調:ポピュラー・ミュージックでの本格的な転調は、コーラスのつなぎ目などで使われることが多いが、ときにはコーラスの途中で行なわれることもある。平行調間の転調を除き、転調部分では調号が変更される。本格的な転調は次のように分類される。

<1>ドミナント・モーションの応用:一時的転調でのセカンダリー・ドミナント・コードの応用と同じく、新しいキーのドミナント7thコードを転調部分に使うもので、転調法の主流となっている。さらに、ドミナント7thコードをスムーズに導入するために、ツー・ファイブ進行などが使われる。短調への転調の多くは、マイナー7th(♭5)コードを含むツー・ファイブ進行による。

<2>ピボット・コードの応用:ピボット・コードとは、もとのキーと、転調しようとするキーの両調にとって何らかの関係を持つコードのこと。これを応用した転調はエンハーモニック転調といわれ、平行調間の転調に多くみられる。

<3>偽終止の応用:もとのキーの終止部分に偽終止を応用してできる転調を指す。終止部分が新しいキーにそのまま直結することも考えられ、この場合はメロディーライン上での強い終止感が要求される。

<4>突然の転調:ふたつのトニック・コード(主和音)を直接結びつけた転調。両調間の共通性を生かしたものや、短2度上行などの単純なルート・モーション(根音進行)によるものが多い。

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