サ行

前奏曲

声楽・器楽作品のはじめにおかれ、導入の役割をもつ器楽曲。形式的には自由で、走句、和音や分散和音、器楽独自の音型を含むことが多い。オルガニストが礼拝時に歌い出しのピッチなどを確認するために、教会のオルガンを短く即興的に奏したのが前奏曲のひとつの起源と考えられ、その初期の例は15世紀ドイツのオルガン曲集にみられる。また、調弦のすんだリュートやチェンバロを試し弾きしつつ次に弾く作品への雰囲気作りをするためにも前奏曲を奏された。バロック時代においては、礼拝でのコラール前奏曲として、組曲の導入楽章として、前奏曲とフーガの対として、複数の部分からなる鍵盤楽器用の自由作品としてなど、多くの前奏曲が書かれた。ウイーン古典派の時代には作品数が少ない。19世紀以降は、ショパンやドビュッシーらに代表されるようなピアノのための前奏曲集が、一種のキャラクターピースとして書かれた。

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